あまりティペット/リーダーに頓着を持たない方でもご一読頂ければ、新たな視点で見て頂けるかもしれません。

フロロカーボンの特性は以下のことが挙げられます。

まず、水に対する比重が重いこと、光の屈折率が低いことです。では、実際の釣りにどのように影響や効果があるのでしょうか?

フロロカーボンは比重が水より重いため、沈降速度が速く、水中への沈降がスムーズである。

比重とは求めたい値を標準物質(水)との比較で表したもので、簡潔に説明すれば、この場合は1本、1メートルのフロロカーボンティペットとそれと同量の水の体積を比較してどちらが重いかを表すものです。
水を1と仮定して、一般的なナイロンは1.14で、フロロカーボンは1.7~1.8、数値が表す通り沈降速度の面ではフロロカーボンの方が有利なことが分かります。

光の屈折率ですが、あくまでもクリアーな色調を前提にすると、水中での光の屈折率は、フロロカーボンの方が水の持つ屈折率に近いため存在感を軽減できる、すなわち目立ちにくいということになります。

虹や蜃気楼もこの光の屈折によって起こる自然現象ですが、数値化してみると概ねではありますが、空気を1.0と仮定すると、水は1.3~1.35程でナイロンの数値は1.5~1.6、フロロカーボンは1.4~1.45(全て概算値)となります。

さらに幾つかの特性を挙げてみます。

吸水性が殆ど無い。そのため、吸水による劣化はほぼ起きません。また耐光性にも優れており、紫外線による劣化も殆どしません。 擦れに強い。

フロロカーボンは縦繊維の集合体で、単一繊維のナイロンとは構造が違います。また、ライン自体の素材が硬いので障害物(岩、木、人工ストラクチャー)に接触しても表面に傷が付きにくいのです。

初期伸度が低いので感度が良い。

糸電話を例にとってご説明すると、糸電話は、糸に声の振動が伝わり遠くにいる相手に声が届きます。これを糸ではなくゴムにすると、ゴムは声の振動を吸収してしまい遠くにいる相手に声が届きにくくなります。つまり、初期伸度が低いということは、ラインが伸びないので振動を吸収することなく手元まで伝えることになります。

ただ、このフロロカーボンにも弱点があります。

分子構造がタテ配列で単純構造のためにラインが硬くなり、巻き癖がつきやすく、ノットも作りにくい。つまり、ノットの結節強度が低い、もしくは結節強度が回復しないといった現象が起こりやすい。その最大の原因は、素材自体が硬いために素材の弾性が確保されておらず結節部分において繊維同士の密着度が低い、そのことが原因で結節部分(ノット)で素材同士・繊維同士の摩擦が起こりやすいことが挙げられます。結節強度のデータを見ると、ノットの種類によっては、強度回復がポンドテストに対して1/3という現象も確認されました。こういった現象がフロロカーボンでのラインブレークに繋がっていると考えられるのです。

ティペットとは、魚と直接コンタクトするラインの一部であるため、神経質にテストを繰り返してデータを蓄積していきました。

その上でOPSTでは、フロロカーボンの特性はそのままに、この弱点を克服するため原料から考えました。
原糸の種類、ライン加工で最も重要なラインを伸ばす作業、延伸作業で熱の加え方、延伸の速度を色々と変更し加工して、最終のコーティングも様々な処理を行い、サンプルを作ってはフィールドテストを繰り返し、納得のできるラインが完成するまで続けました。

完成したラインは、フロロカーボンの特性はそのままに、ラインは柔らかく、しなやかで扱いやすくなり、表面のコーティングによって結節強度回復に求められる繊維弾性を出すことにしました。

規格 / LB / 長さ/ ストラップのカラー
3X / 8LB / 30m / レッド
2X / 10LB / 30m / オレンジ
0X / 12LB / 30m / イエロー
-1X / 16LB / 25m / グリーン
-2X / 18LB / 25m / ブルー
-3X / 20LB / 25m / パープル

ラインを柔らかくしなやかにしたおかげで、癖も付きにくく、ノットが作りやすくなり、これまで最大の問題だった結節部分は今回、表面に弾性を出すことによって、ノットを作った際にライン同士の密着度が増して、結果、ほどけにくく結節強度が改善され強くなりました。

スプールとラインストラップは特注。

スプールは、実釣のことを考えて小さめのスプールを採用。そのスプール同士は連結が可能です。
小さくしたことでポケットからの出し入れが楽になり、また移動時にはコンパクトに収納できます。

次にラインストラップは、規格ごとに色を変え、ポケットから取り出したときに一目で好みのポンド数を選ぶことが出来ます。さらに色を覚えていなくてもラインストラップには規格、ポンド数をマークしているので、いちいちスプールを見る必要はありません。

また、使用していくうちに減っていくラインが、スプール内に入り込んでしまい取り出せない経験があったことからストラップにツマミを付けて、そのツマミを引っ張ることでラインをスプールから取り出しやすくしました。

ストラップの素材はシリコン樹脂を使用。シリコンは、耐熱・耐寒・耐候・耐水性に優れています。
150度の高温状態でもマイナス50度の低温状態でも、その特性に変化は起きません。また、長時間、紫外線を当てても、水に浸しても物質の変化は殆どありません。そのため劣化の進行速度は遅く、通常の使用では切れません。

ストラップへの印字は、シリコンインクという特殊なインクを使用し、柔らかい素材にもプリントが可能なシルクスクリーン印刷という方法で行っています。このシリコンインクは自然乾燥しないため、高温の乾燥炉に入れ、一定時間乾燥させます。そうすることでインクがシリコンに密着し、焼き付くので剥がれにくいのです。

スプール前面のロゴの入った黒いステッカーは完全防水に仕上げました。水に濡れて印字が見えなくなることも心配無用です。

 

 

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